健康―病気に対する正しい認識と医療消費者にならない智恵が必要です。
現代医療は高度に発展を続け、その恩恵をたくさんの人に与えて来ました。
しかしその一方で国民医療費は増加の一途をたどり、医療保険制度は破綻寸前に陥り、それを維持するのに大変重い税負担が課せられつつあります。
病気の「早期発見・早期治療」と謳われていますが、病人は減るどころか、むしろどんどん増加していると言わざるを得ません。
しかも、一旦病気と診断されると完治しない病気が次第に増加しています。
完治しないとは、症状を抑えるだけの対症療法に頼るしかないということです。表現を変えれば、薬物などを使用し続けなくてはならないということです。
このように対症療法を受け続けなければならなくなってしまった状態を、我々は医療消費者への転落と名づけています。
なぜなら、国民医療費はGDP算出項目に入っており、国民医療費が増大すればするほどGDPも上がるという仕組みになっているからです。
近代経済は、消費の拡大膨張によって経済成長を維持する構造になっています。
つまり、いかに需要を引き出し、いかに消費を大きく拡大していくかという力が常に働いていると言うことです。
したがって、医療消費を抑制しようとする働きよりも拡大への力が大きく働いてしまうのは、現代社会の経済システムの当然の帰結であると言えます。そのため、病人が増えれば増えるほど、経済成長に一役かってしまうという、奇妙なことになっているのです。
しかし今後、医療の世界に経済原理が深く浸透するに伴って、経済的に余裕のない人は医療が受けられなくなるでしょう。
「自己責任」という言葉が、ますます重くのしかかってくることは目に見えています。
「生き生きと健康に、より良く生きる」ことは難しいことではありません。
マスコミで「○○が健康に良い」と報道されれば、その商品が店頭から消えてなくなるなどという現象は、健康を「モノ」に頼っている社会性を如実に現しています。
あふれる情報に惑わされることなくご自身の健康を維持するためには、健康―病気に対してのきちんとした認識が必要です。時に医療にかかることはあっても、医療消費者にはならない智恵が必要です。
当院では、病気で通院してくださっている方々に一日でも早く健康を回復していただけるよう、そして再発しないことを念頭に置いた治療を行っています。
また、東洋医学の人体観を基礎に持った、「気」を扱う技術を有する医療人の育成も行っています。
東洋医学には、医薬に頼らなくても健康に生きる智恵がたくさんあります。
門戸は広く開いております。どうか皆さんご参加ください。
いおり鍼灸院 院長 金澤秀光