Q.鍼(針)は痛くありませんか?
当院の鍼治療では、太さ0.14mmから0.2mm前後の極細鍼(針)を使用しております。そのため、痛みは感じにくくなっています。
鍼(針)と言えば、注射針をイメージされる方が多いと思います。注射針は先端に刃をつけて皮膚を切りながら刺入するので鋭い痛みを感じます。
一方、鍼灸治療で使われる鍼は、尖端が卵のように丸くなっているので、組織を押しのけるように皮膚に入り、痛みはほとんど感じないよう工夫されています。
ただし、痛みの感じ方には個人差があり、お身体の状態によっても変化します。
Q.お灸はどんな時にするのですか?鍼(針)とお灸の効果はどう違うのでしょうか?
当いおり鍼灸院では鍼を専門として、お灸は補助的に用いています。
鍼とお灸の共通点は、ともに「気」を動かす道具であるということです。
鍼には"正気"を集めながら"邪気"を抜いていくという、複雑な操作を特殊な手技で行えるという利点があります。
一方、お灸は"正気"が極端に弱っていたり、冷えが強い場合に用いて"正気"を鼓舞させたり、冷えを取り去ることに優れています。
Q.熱がある時に鍼灸治療を受けても大丈夫でしょうか?
鍼治療には問題ありません。
風邪からくる熱はもちろんのこと、扁桃炎・中耳炎・化膿性の疾患からくるもの、体温計では異常がないにもかかわらず、身体がほてったり、身体の芯が熱くて落ち着かないなど、多様な状態に対応できるのが鍼治療の特性でもあります。
また当院では、身体が大きく"冷え"に傾いていたり、"気"を鼓舞する時にお灸を用います。したがって、身体が“熱”に傾いている人には、まずお灸をすることはないと思われますが、お身体の状態を診て判断いたします。
Q.鍼(針)の消毒はどうされていますか?
鍼(針)は一回きりの使い捨て鍼「ディスポ鍼」を使用しており、感染の心配は全くありません。
また、一時的に鍼を置いておくシャーレ(鍼皿)も使い捨てタイプのものを使用しています。
術者は毎回、速乾性擦り込み式手指消毒剤「ウエルパス」で手指を消毒するなど、院内感染には万全を期しています。
Q.鍼灸治療を受けた後、どのようなことに気をつけたらよいですか?
治療を受けた後は、気持ちも身体もゆったりとさせておくこと。そうすることで、治療効果をもっとも高めることができます。
治療後すぐに激しい運動をしたり、感情をたかぶらせることのないよう留意してください。
また、治療直後の入浴も避けてください。治療効果を高めるため、少なくとも2時間程度、時間を空けていただくことが望ましいです。
Q.生理中に鍼灸(針灸)治療を受けて大丈夫でしょうか?
問題ありません。女性の場合、生理の前後で身体が大きく変化します。その変化を診せていただくことは病態把握に大きく役立ち、治療にも反映させることができます。
出血の量が特に多い、生理がダラダラと続いてなかなか終わらないといった症状、また生理に伴う不快な症状も、短期間で改善させることが可能です。
Q.お灸の痕が残ったりしませんか?
お灸の大きさは、おおむね米粒の半分くらいの大きさで、銀紙でできた灸点紙の上に施灸します。お灸の痕(灸痕)は全く残りません。熱さもほんの一瞬チカッとする程度です。
Q.鍼灸(針灸)治療の効果はどのくらいであらわれますか?
鍼灸治療の効果は、早い人であれば鍼をした直後に実感していただけます。
急性の病であれば、治療効果もすぐに現れることが多いです。
ただし身体の"正気"が弱っていたり、発病してから長期間を経過し、慢性化している場合は徐々に効果を実感される方が多いようです。
Q.鍼灸(針灸)治療の通院頻度と期間はどのくらいですか?
当院では、おおむね週一回のペースで治療を受けることをお勧めいたします。
軽い症状であれば、2〜3回の通院治療で改善することが可能です。治癒の流れに乗った頃合いを見て、2週間〜3週間に一回のペースに変更いたします。
治療期間は慢性病であっても3ヵ月程度で改善される方がほとんどです。ただし、患者様の"正気"の状態、環境や生活習慣、年齢などによって長期間が必要な場合もあります。
Q.最近なんとなく疲れやすい、眠りが浅いといったこと以外に、これといった症状はないのですが…。
健康診断や検査で異常が見つからなくとも、東洋医学ではいち早く身体の声を聴いて治療をすることができます。
これは『未病の医学』としての東洋医学の最もすぐれた点です。
なんとなくおかしい...と思った時点で治療を受けることで、大きな病気を防ぐことが可能にもなります。
Q.東洋医学の診察法「四診」とは?
「四診」とは「望診(ぼうしん)」「聞診(ぶんしん)」「問診(もんしん)」「切診(せっしん)」のこと。これらの診察法はさらにいくつかの方法に分かれます。
■望診(ぼうしん)
少し離れて患者さんの様子を観察し、大きく見えるか小さく見えるか、しぐさや動作の速さなどを観察します。
また、顔面にあらわれる色によって五臓の状態を診ます。爪や皮膚の色艶などからは、気血の状態やストレスの度合いなどを察します。舌の表面の状態からは主に胃腸の状態と気血の過不足を、舌の裏の舌下静脈の状態からは血の鬱滞の状態と瘀血(おけつ)の存在を察します。
■聞診(ぶんしん)
患者さんの声の清濁、大小、調子などから正気の状態を察します。
体臭・口臭など嗅覚から得られる情報は、身体が熱に傾いているのか否かの重要な判断材料となります。
■問診
初診時などに患者様に記入していただく問診票を見たり、患者様から直接話をお聞きして、必要な情報を収集すること。
単に症状を聞くだけでなく、身体全体の寒熱・虚実と五臓六腑の状態を知るために、問診者が意識的に質問をして、症状の根になっている部分をつかみます。
■切診
「切」とはぴったりと触れること。実際に患者さんの身体に触れて、冷たいところと温かいところのアンバランスや、緊張している場所とその深さなどを診ます。
手首の脈をとる「脈診」、腹部を触る「腹診」、経穴(ツボ)や気の流れを診る「経穴診」「背候診」、手足の冷え等を診る「触診」などが「切診」です。
当院では、この「四診」を行うことによって、身体全体をくまなく診察し、実際に患者さんの身体に触れて得た情報と、その他の情報を総合して「証」を立て、治療を行います。